9/6 (JST) September 2012 SLOW bot tournament が終わりました. 優勝は Zen, 以下, Aya, Crazy Stone, Nomitan, Pachi, Many Faces of Go, Gomorra, NiceGo, MCark, Orego の順でした. おめでとうございます.
今回特筆すべきは Aya が Crazy Stone との 2度の対局を連勝して 2位になったことでしょう. また, これがなければハードウェア・トラブルを抱えた Zen の優勝もかなり際どかったはずで, 結果として強力な援護射撃になりました. 詳細は次項で.
9/16 September 2012 SLOW bot tournament の Nick 氏のレポートが公開されました. このレポートにもあるように, 第 1ラウンドの Aya との対局での Zen の 11手目は明らかに変調です. この後も右上隅で取られてた石が活き返ったりして必敗と思われたのですが, 上辺の大石同士の攻め合いを運良く制して大逆転勝ち. 第 2ラウンドの対 Manyfaces 戦でも 14手目, 24手目などおかしな手を連発したのですが, こちらも運良く逆転勝ちという, 薄氷を踏みながらのスタートとなりました.
ログ中に NaN (Not a Number) があることから, オーバークロックされている PC の FPU (浮動小数点数演算器) が普段より長い思考時間により局部的に高温になって誤動作し, 演算結果として NaN を返したために, 候補手のリストの最初の手が最善手として選ばれてしまったものと推測した Zen のオペレータ (私 :-) は, 怪しい PC をクラスタから切り離し, メイン PC のコア電圧を少し上るという対症療法で対 CrazyStone 戦を迎えます. しかし, 頻度は下がったものの依然妙な手はなくならず, 若干優勢の局面で悪手を打って非勢になりそのまま敗け.
Zen のオペレータはここで筐体を開けて本格的な調査を始めるも, テスト中にそのまま寝落ち. Zen は第 4ラウンドの対 Pachi 戦を棄権負けしてしまいます. これで 2敗, 優勝はかなり難しくなりました.
その後, メイン PC のクロック周波数を定格に戻されコア電圧も再調整された Zen は, 妙な手を打つことなく 2度目の対 Crazy Stone 戦を含む残り 8局を全勝. 他方, 第 4ラウンド終了時点で全勝の Crazy Stone は第 5ラウンドで伏兵 Aya に, 第 8ラウンドで Zen に負けて 2敗となりました. これで優勝は SOS で決まるのかと思われていた矢先, Aya が第 11ラウンドで再び Crazy Stone を破って Zen の優勝がほぼ確実になりました.
最終的に Aya は初の 2位という自身の最高位を獲得. Crazy Stone に 2連勝しての 2位ですからこれは立派 (第 1ラウンド, 大優勢からの逆転負けが惜しまれます). しかも Nomitan も 4位となり, 年間チャンピオンシップのポイントを初めて獲得するという, 日本勢にとって最良の結果となりました. その年間チャンピオンシップは, 首位の Zen と 2位の Pachi との差が 23点となり, 3戦を残して Zen の優勝は, Pachi の 2位 (3位と 15点差) とともにほぼ確実になりましたが, 3位から 6位の争いが, Steenvreter が時々参加しないこともあるため, ややこしくなっています.
なお, Nick 氏のレポートの最後に (観客との議論からインスパイアされた) 参加者への要求が二つ, 「投了」と「ハードウェアの性能」があります. 前者に関しては, Computer Go ML での議論などを通じて不問ということになったようですが, やはり望みが無い局面になったら投了する方が無駄な電力消費も防げるし, 宜しいのではないでしょうか. 技術的に難しいということもありませんし. 後者に関しては, プロセッサの個数, 性能などの詳細をボットの "info" に付記することを要求する (もし忘れた場合は彼が勝手に書き込む) とのことです.
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