2014年 12月の話題

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12/1 Ericsson氏来訪記念特別ワークショップが開催されました.

12/8 第108回 KGS bot tournament (13路) が終わりました. 優勝は Aya, 以下, HiraBot と Steenvreter (同点 2位), Coldmilk, Fuego, NiceGo, Orego, MC_ark の順でした. おめでとうございます. Nick 氏のレポート (英語) もご覧下さい. MC_ark は第 14ラウンドの途中で KGS への接続が切れてしまい, 以降のゲームは全て時間切れ負けで最下位になりました.
 年間チャンピオンの全順位が決まりました. 優勝は Zen, 以下, Aya, CrazyStone, HiraBot と Fuego (同点 4位), Dolbaram, Oakfoam (NiceGo), Pachi, Steenvreter, Nomitan, GNU Go, MC_ark, Coldmilk, Orego, Goissa の順でした. おめでとうございます. 1~3位を日本のプログラムで独占という夢は惜しいところで叶いませんでした. CrazyStone と DolBaram がいるので難しいかもしれませんが, 来年に期待しましょう.

12/27 暫く前から, Computer-Go mailing list (アーカイブはこちら) が deep CNN (convolutional neural network; CNN に関してはウィキペディア (英語) 辺りを参照して下さい) を使った, 棋譜の学習で盛り上がってます.
 ANN (人工神経回路網) に興味がない人は知らないと思いますが, 1980年代に流行った back propagation の後, 層数を増やした deep learning という手法が開発され, 現在, 主に画像分野で良い結果を出しているのですが, それを棋譜の学習に応用したというわけです.
 ほとんど同時期に論文が二つ発表されました. 一つ目はエジンバラ大学の Christopher Clark と Amos Storkey, 二つ目はトロント大学の Chris J. Maddison と Google (Erica の Aja Huang, RAVE の David Silver, 他一名) の連名で, 前者は 45%強, 後者は 55%強という素晴らしい予測率※を達成しており, この予測結果だけを使った対局で, GNU Go 3.8に対して各々 91%, 97%という勝率だったそうです.
※ 2007年の Rémi の論文で 34.9%, 最近の強いプログラムでも 45% 辺りでしょう.
 ただ問題は処理時間で, どちらも GPU を使っている (前者は NVIDIA GTX 780 1枚, 後者は GeForce Titan 4枚) のですが, 局面を入力してから全合法手の着手確率が出力されるまでの時間 (latency) が長く, これをシミュレーション中で使うのは無理, 探索中の手の事前評価として使うにもちょっと厳しいレベルです (throughput は何とか使える程度).
 とは言え, 自動的に非線形な特徴が学習できるのは, GPU をフルに使って一週間ほどという学習時間を割り引いても, 他にない大きな利点で, この CNN が学習した有効な特徴を抽出して普通のプログラムで使うことができれば, 速度の問題は解決します.
 今年の更新はこれが最後です. 皆様良いお年を.

<今後一ヶ月の予定>

12/1 Ericsson氏来訪記念特別ワークショップ, 電通大, 調布.

12/8 1:00 (JST) 第108回 KGS bot tournament (13路), KGS.

12/14 18:00 ニコスト第4局, ニコニコ動画.

12/20 16:00 - 17:00 大橋プロのスペースマンでGO! 第9回, 日本社会人囲碁協会.

(文責 加藤英樹)

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